市立尼崎高校野球部

市立尼崎高校野球部の竹本監督との出会いは、武庫工業高校のスクールカウンセラーを務めていたときでした。
「いつか僕が監督になったら、ぜひ手伝ってください。」
その言葉通り、その後、市立尼崎高校に異動された監督になった竹本監督は長谷川先生を招聘。正式に市立尼崎高校野球部を指導することとなりました。しかし、第一回目の指導日にある問題が起こります。
指導に設定した日は、「病院日」と言って、ケガや故障を抱えている選手は病院に行ってもいいよ、という日でした。
しかし、教室に指導を受けに来た選手は、なんと数名。他の選手は皆、病院や整骨院に治療に行ってしまったのです。これには監督も長谷川先生も驚いたそうです。
「それぐらい身体が悪かったら、いくら上手くなっても勝てない。ましてや連戦を勝ち続けるなんて無理に等しい。」
そう判断した長谷川先生は、『メンタルインタビュー』という心身のチェック用紙を使って、選手たちの状況調査に乗りだします。
そこで判明したのが、選手たちの基本健康度の低下でした。例えば、朝の寝起きが悪い選手が多く、二度寝三度寝してしまうや、身体のだるさを感じて起きてくる選手がほとんどでした。
これは、人体の約70%を占めるといわれる体液の酸化を表します。体液が酸化すると、筋肉が疲労しやすくなるやケガ・故障のもとになりますから、能力アップどころではありません。
そこで、選手たちへコンディショニングの理解を深める指導をするとともに、保護者会を開いてシンパシィ・カルシウムの補給など家庭でできる栄養指導を行ったところ、ほとんどの選手の健康状態が回復しました。
そこからチーム力が変わります。
練習量が増えるとケガ・故障がちだった選手達が、練習量が増えても練習強度が上がっても、ケガ・故障することなく、練度が上がり上手い選手・強いチームに育っていきました。
監督と練った計画的な練習・戦略を活かすべく、選手たちは集中力トレーニングをルーティン化し、徐々に能力を発揮しだします。
今とは違って強豪私学が全盛で、ベスト8以上は公立チームが割り込めない状況だったのですが、市尼が公立の雄となり、ベスト8、ベスト4と勝ち進み、最終的には県大会準優勝まで到達しました。
その間に、金刃憲人投手(現楽天・ドラフト巨人逆指名)、宮西尚生投手(日ハム・ドラフト3位)と2年連続でプロ選手が誕生するなど、大いに選手の能力が高まりました。
チームの能力開発には、実力発揮の公式【実力=顕在能力/心の抵抗×身体の抵抗】通りの計画があり、イメージトレーニング・集中のルーティン化、自宅でのケア・サプリメントの補給・個別指導によるコンディショニングがフルに活用されたからでしょう。
選手の潜在能力やチーム環境を見抜く長谷川先生の眼力と能力開発のメカニズムが、チームプロデュースとして機能した事例の一つといえるでしょう。
