1, 脳波とは
脳波とは、神経ネットワークの電気活動を記録したものです。
脳には一千個を超えるニューロン(神経細胞)があり、巨大なネットワークを形成し、感覚器官から送られてきた情報を伝達処理し、また、身体をコントロールするための情報を送り出しています。
このとき、ニューロンでは電気信号が流れ、ニューロン同士を繋ぐシナプス(中継機能)では、送り手側のニューロンから神経伝達部室が放出され、それを受け手側のニューロンが受容しています。
この神経伝達物質の量によって伝達情報が増幅または抑制され、神経伝達物質の種類によって情報が修飾されます。
脳細胞の活動と相関して、その周りには電波が発生しています。しかし、一個の脳細胞にかかわる電波はとても小さく、それを頭皮面から検出することは容易ではありません。ところが、一定数以上の脳細胞が同調して活動すると、微かな電波を検出することができます。その同調周波数から、脳の活動状況をおおまかにうかがい知ることができます。
2, 脳波を測る意味
よく言われる「アルファ波」とは人の脳波の一種です。他にもベータ波、シータ波、デルタ波等があります。
脳波のパターン(=脳の活動状況)というのは、ある種の条件反射記憶のようなもので、条件反射記憶を変えれば脳波のパターンを変えることができます。そのためにも、現状を測定によって認識する必要があります。

人は環境やストレスに大きく左右されています。刺激があればあるほど、脳波は安定しません。現状を認識すれば、刺激に対する条件反射(行動)を変えることができます。有名な言葉「心が変われば、 行動が変わる 行動が変われば、習慣が変わる 習慣が変われば、人格が変わる 人格が変われば、運命が変わる」の通り、自分の脳波を認識することで、行動・習慣を変え、脳波を安定させることができます。
なお、バイオフィードバックとして脳波計を使うことが難しい場合も、アルファ波トレーニングを日常的に続けていると、脳波のパターンは変わってきます。
3,測定方法
脳は、その部位によって動きが異なります。例えば、単にアルファ波が出ていると言っても、どの部位から出ているのかでその意味は違ってきます。
ですから、研究の成果を共有するために、国際脳波学会において「10-20法」と呼ばれるルールによってセンサーの配置が定められています。この方法に則って多数のセンサーを配置して測定することが理想なのですが、測定が煩雑となり被験者にストレスを与えてしまいます。

そのため、「10-20法」によって定められている配置ポイントの中から、観察する上で最も重要な部位の一つである前頭葉前額部に絞って測定しています。また、増幅(検出)方法は「耳朶を基準とした単極誘導法」を採用しています。これらは、達人達の脳波を研究する上で最もコストパフォマンスに優れ、測定も手軽に行える方法です。
4,脳波測定からわかること
脳波を測定することで、被測定者の集中パターンを分析することができます。スポーツ選手で例えると、スロースタータータイプや、前半はいいけれど後半調子が落ちてしまうタイプなどです。これは、一般の方にも当てはまります。
それに加え、生理状態のチェックやマインドテスト、スパイラルチェックなどを加えた測定(ヒューマンパワーチェック)を行うことで、被測定者のメンタル・フィジカルを合わせた総合的な現状や、潜在能力の高さ、能力を高めることに必要なメンタル的、フィジカル的、テクニカル的なアプローチ方法がわかります。
また、被測定者の疲労度や試合時における性格のようなものもわかるので、それを認識することで、被測定者は自身の自己コントロール力が高めることができるや、被測定者がスポーツ選手の場合、指導者は大会で結果を出すためのチーム・選手マネジメント(逆算管理)を考える手助けになります。
5,脳波の種類
脳波の種類 | 周波数 | 緊張度 | 集中度 |
ベータ波 | 17Hz~26Hz | 緊張 | 分散 |
❏ 優勢時の意識状態 | |||
ファーストアルファ波 | 12Hz~13Hz | ややリラックス | 緊張集中 |
❏ 優勢時の意識状態 | |||
ミッドアルファ波 | 9Hz~11Hz | リラックス | 意識集中 |
❏ 優勢時の意識状態 | |||
スローアルファ波 | 7Hz~8Hz | リラックス | イメージ集中 |
❏ 優勢時の意識状態 | |||
シータ波 | 4Hz~6Hz | リラックス | うとうと |
❏ 優勢時の意識状態 | |||
筋肉緊張電位 | 100Hz~300Hz | - | - |
❏ 優勢時の意識状態 | |||
アーチファクト | ― | ― | ― |
❏ 優勢時の意識状態 |
6,スポーツチーム 脳波測定評価表
これまで、1000人以上の選手達の脳波測定及び大会等の戦績結果により割り出した評価表です。
段階 | 戦績 | 電圧 | 優勢率 |
A | 全国トップクラス | 18μv以上 | 95%以上 |
B | 全国レベル | 16μv以上 | 90%以上 |
C | 県トップクラス | 14μv以上 | 80%以上 |
D | 12μv以上 | 70%以上 | |
E | 県中堅クラス | 10μv以上 | 60%以上 |
F | 10μv以上 | 50%以上 | |
G | 地区大会クラス | 10μv未満 | 50%未満 |
脳波は高いけれど、実力が伴わない、または脳波はそれほどでもないけれど実力があるんだよな・・・スポーツは心・体・技とそれをつなぐ本質的能力の相関によって表現が変わってきます。
脳波は、本質的能力そのものですので、本質的能力に問題がない場合、他の要因が考えられます。簡単に脳波との関係を下にまとめておきます。
脳波との関係
- 知性・体力・基本技術が高ければ、α波を上げることで実力が発揮されてくる
- 知性・体力・基本技術が低ければ、α波が高ければ上達が速い
- 知性・体力・基本技術が低く、脳波が低ければなかなか上達しない
- ポジティブであり、基本的な知性や体力、基本技術が一定水準を満たしている場合はα波レベルを上げることで結果が出る
- テクニカルトレーニングでもフィジカルトレーニング、メンタルトレーニング(知性、競技の本質は?守りの本質は?基本的な考え方などのようなこと)時全てにおいて、α波でトレーニングしていると上達が早い
7,あなたの脳はこんなタイプ!
Aランク(α2波の優勢率が95%以上、平均電圧18μv以上)のあなた。

超一流の集中力です。スポーツ・学習・仕事など、何事にも願望目標に向かって真っ直ぐ突き進みましょう。日常の生活環境や生活習慣によってつくられた素晴らしい脳力です。
もし、結果が伴っていないとすれば、集中する対象(意識の焦点)を見直してみると良いでしょう。ターゲット指差し法を使って、イメージのギャップ(ズレ)をチェックしてみては?
Bランク(α2波の優勢率が90%以上、平均電圧16μv以上)のあなた

一流の集中力です。育った環境が良かったために、素晴らし脳力が備わっています。何事も割とスンナリと身につけていくタイプです。しかしながら、飽きっぽいところがあるかもしれません。また爪が甘くなることがあるのでは?意識の焦点を逸らさないように、目標に向かいましょう。
そんなあなたには、一点凝視法や遠近・近遠法で集中のさらなる研ぎ澄ましをすることをオススメします。
C・Dランク(α2波の優勢率が70~89.9%、平均電圧12~15.9μv)のあなた

高い集中力の持ち主です。とても優れた力を発揮する反面、うまくいかない時は「あれ?」と思うほど差が激しいかもしれません。常に安定して実力を発揮知るためには、その競技や物事のメカニズムを知り、理解することが必要です。
スポーツを通じて正しい考え方を学びましょう。また、見るという視覚的な集中だけでなく、他の感覚器官(聴覚や触覚など)を刺激することでも集中力は研ぎ澄まされます。コイン立て法や音源集中法はとても有効なトレーニングです。
優勢率が60%未満のあなた

あなたの頭の中で考えていることが、無意識にコロコロ変わってしまうタイプ。例えば、授業中なのにクラブのことや家の事、友達のことなどを勝手に考えてしまっていることはないですか?
このように意識が逸れやすい状態です。そんなあなたが安定した力を発揮し、能力を伸ばしていくためには、こまめに集中力トレーニングをすることが必要です。メニューの変わり目に集中カード法やボール積み法、またはワンプレーごとに一点凝視法などを使って、集中してから物事に向かう習慣をつけましょう。
θ波やα1波が優勢のあなた

脳がリラックス状態にあり、イメージの湧きやすいアーティストタイプで、アイディアやひらめきが浮かぶことが多いでしょう。
その反面、自分もイメージの世界に入り込み、人の話を聞き逃したり、頭ではうまくいったと思っても、実際にはミスをしている。なんてことがよくあるかもしれません。そんなあなたには、対象へ集中力を高めるために一点集中キャッチボール法がオススメです。
α3やβ波が優勢のあなた

頭の中で考えながら、行動するタイプです。靴を履くとき、「靴を履いて・・・」と思ったりしていませんか?
このような人は何かアクションを起こす時、そのことを意識しすぎるために緊張が伴います。「集中すると疲れます」という人もこの傾向にあります。
普段から緊張をほぐし、頭の中を空っぽにする習慣をつけましょう。ストレッチ呼吸法やハミング法がオススメ。
平均電圧が10μv未満のあなた

「何かをしても反応が遅れる」
「やる気や元気が出ない」
「集中力が散漫」
「なんだかぼーっとすることが多い」
などになりがちな状態です。まず、心と身体の疲労解消が最優先です。精神的肉体的疲労の蓄積により、脳の身体の機能が働かない、休憩したい状態になっています。ミネラル・ビタミンの栄養補給やマッサージ、スポーツカウンセリングなどで心身に蓄積した疲労を解消させましょう。
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木曜日/第2.4水曜日
※文中にある各トレーニング法は、シンパシィ・ユニオンの集中力トレーニング法アラカルトを参照してください。
より詳細な状態をチェックと個人アドバイスをご希望される方へ
シンパシィ・ユニオン オリジナル メンタルチェック
【内容】
- 脳波測定
- EMG(筋肉緊張電位)測定
- メンタルインタビュー
- マインドテスト
- スパイラルチェック(身体のエネルギーの流れを測定)
【時間】30分程度
【費用】5,000円